一時停止に必要な正しい認識

事故に直結する違反行為

皆様の会社で多い法令違反はなんでしょうか。

速度超過でしょうか、一時不停止でしょうか、それとも携帯電話等でしょうか、業種業態によっては駐停車違反という会社もあるのかもしれません。

今回はその中でも事故になりやすい違反行為として、一時不停止について考えてみたいと思います。

是非、社内で情報共有を行い、交通事故防止にお役立ていただければと思います。

一時不停止が事故になりやすい理由としては、一時停止は信号機のない交差点や見通しの悪い交差点に設置されていること多く、他の交通を認知しずらいという危険がある場所で多い法令違反であることが挙げられます。

実際、一時不停止が原因の事故として出合頭事故がありますが、交通事故全体の約25%(最も多いのは追突事故の約35%)の割合で発生していることからも、一時停止の指定場所で停止し、安全確認を行うことは一番の防止策と言えるのではないでしょうか。

一時停止の定義

せっかくの機会なので、一時停止の定義から見直してみましょう。

一時停止は道路交通法第43条に下記の通り記されています。

道路交通法 第四十三条(指定場所における一時停止)

車両等は、交通整理が行なわれていない交差点又はその手前の直近において、道路標識等により一時停止すべきことが指定されているときは、道路標識等による停止線の直前(道路標識等による停止線が設けられていない場合にあっては、交差点の直前)で一時停止しなければならない。この場合において、当該車両等は、第三十六条第二項の規定に該当する場合のほか、交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない。

補足ですが、第36条第2項の規定に該当する場合とは、「その通行している道路が優先道路である場合」のことをいいます。

法律では、「一時停止は止まりなさい」「交差道路の通行は妨げないようにしない」となっていますが、その目的は「危険の防止と安全を図る」ことにあります。

一時停止の停止時間や停止位置

よく受ける質問として、「どれくらい停止していればいんですか?」といった停止時間や「停止線を出ても止まればいんですよね?」といった停止位置に関して質問されることがありますが、このような場合、一時停止の目的を理解していません。

答えとしては、「車両の先端が停止線(停止線がない場合は交差点の直前)を超えない位置で停止をした上で、安全確認を行い安全であることが認知されるまで」となります。

人間には動体視力があり、徐行でも動いている状態と停止している状態では認知の精度が違い、停止した状態での確認が最も周囲を正確に認知することができます。車庫入れなどの後退中の確認も同様に、一旦停止を入れながら確認を行うことは後退時の事故防止に役立ちます。

また、認知判断操作には、どうしても1秒程度の時間が掛かってしますが、これを反応時間と言います。

歳を取ればこの時間は伸びる傾向にありますし、たとえ徐行状態であっても、認知してすぐブレーキを踏んでも、反応時間に進んだ距離によって交差道路の端を通行する自転車や歩行者との出合頭事故になることは十分に想定できます。

手前すぎる停止線と一時停止の目的

その他では、「停止線が手前すぎてこの様なところで止まっても交差道路が見えない」とおっしゃられる方もいらっしゃいますが、もし、停止線が優先道路のぎりぎりのところにあったらどうなるでしょうか。

車両の先端が、停止線より前に出てしまったというヒューマンエラーや停止線までの速度が速かった際のリスクを想定し、交差道路である優先道路に与える影響や危険性を考えると、ある程度手前で確実に停止し、そこからは、ブレーキを構えながらの最徐行や二段停止で前進して確認を行った方が、安全性は確実に上がると考えられます。

また、交差道路である優先道路を走っている車が右左折してくる際に、一時停止線が交差点の直前にあり、そこで一時停止していると、右左折してくる車が曲がり切れないとうことも十分想定できます。

細い道に右左折して入ってくる路線バスのために、信号がある交差点でも停止線がかなり手前にひかれているケースがありますが、理由はこれと同じです。

いずれの理由からも停止線が手前にあるということは、何かしらの理由があってのことであるとリスクを想定し、適切に対応して走行できる知識と能力が企業ドライバーには必要ということになります。

繰り返しになりますが、一時停止の目的は「危険の防止と安全を図る」ことであり、それにより「出合頭事故の防止対策」になります。

その理由は、動体視力や反応時間、ヒューマンエラーといった人間の能力的な問題や優先道路から右左折して入ってくるたの交通への配慮がありますので企業ドライバーとして今後の事故防止にお役立てください。

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