タイヤの溝の深さによる安全性の違い

タイヤの溝はどれくらい残っていれば安全なのか

私達は小さい頃からタイヤのお世話になっています。

幼児なら三輪車、児童なら自転車、大人になりバイクや車、公共の交通機関としてはバスや病院ですと車いすなど、人々の暮らしに必要なものとなっています。

当然、筆者も例外なく毎日タイヤのお世話になっているわけですが、先日、愛車の車検があり、その際、ディーラーから「タイヤの溝が残り4mmなので交換をおすすめします」と提言をされました。

正直「4mmもあるのにもう交換なの?!」と思いましたが、個人的に走行距離(燃費)や乗り心地、コーナリング時の踏ん張りなど、悪くなってきたなーと感じていたので、本当に交換した方が良いのか、日本が誇る、タイヤの世界的メーカーであるブリヂストン社HPのタイヤサイトを参考にさせていただき、色々と学んだことをこの機会に共有をしたいと思います。

ブリヂストン社HP タイヤサイト

タイヤの溝深さと制動距離

新品タイヤの溝は平均して8mmほどの深さがありますが、それに対して道路運送車両の保安基準であるスリップサインは1.6mmとなります。

このことから、1.6mmあれば法律的にはOK = 安全

それだけタイヤの溝があれば安全なのだろうと思うことが一般的なのではないでしょうか。

その他、なぜ、タイヤに溝が必要なのか?と思う方もいらっしゃると思います。

確かにF1のタイヤには溝がありません。

しかし、それは、ドライタイヤであり、F1でもウェットタイヤには溝が入っています。

タイヤの溝は湿潤時(濡れた路面)を走行する上では必要不可欠であることを念頭において、湿潤時の制動距離について調べました。

出典:ブリヂストン社HP タイヤサイト「溝深さが不足した場合の影響」より 参照

上記グラフは80km/hで走行した際の制動距離(ブレーキが効き始めてから車が停止するまでの距離)を表しており、縦軸が制動距離(m)で横軸がタイヤ溝深さ(mm)となっています。

タイヤ溝深さが4mm程度から少しずつ制動距離が伸び始め、3mm程度からは急激に制動距離が伸びていることがわかります。

制動距離の観点から考えると溝深さ4mm〜3mmでタイヤを交換することが安全上、必要であることがわかります。

また、この表を見る限り、企業の湿潤時の事故において、タイヤのメンテナンスを適切に行なっていれば防ぐことができた事故もあるのではないかとも感じます。

溝深さとハイドロプレーニング現象

ハイドロプレーニング現象は別名「水膜現象」とも言い、タイヤが水の上を滑走する水上スキー状態になることで、ハンドル操作やブレーキ操作が効かなくなる現象です。

出典:ブリヂストン社HP タイヤサイト「ハイドロプレーニング現象」より参照

縦軸がタイヤの溝深さ、横軸が速度ですが、タイヤの溝深さが7.5mmの新品のタイヤが100km/hで走行してもほとんど浮いている状態であり、タイヤの溝深さが3.2mmでは80km/hでかなり浮いている状態になっています。

それぞれ0km/hの路面に完全に接地している状態と比較すると接地面に水膜があることから、その違いが分かり易いのではないでしょうか。

こうしたことから、新品タイヤでも走行速度が速いとハイドロプレーニング現象が発生し、溝が浅くなると低い速度からも発生しやすくなることが分かり、湿潤時の走行速度の考え方や溝深さの大切さを知ることが出来ます。

タイヤの溝深さが与える多くの影響

おそらく企業の営業マンなど、車の運転が職業ではない企業ドライバーにおいて、タイヤは溝があればOK!という考え方があるかもしれませんが、悪条件化である湿潤時での走行を基準に考えたとき、それは制動力が不足し、制動距離の増大化につながるだけではなく、高速道路等では、タイヤと路面の間の水をかき出す力(排水性能)が低くなり、タイヤが浮く状態になることで、ハンドルやブレーキが効かなくなるハイドロプレーニング現象が発生しやすくなります。

こうしたことも踏まえ、タイヤの溝が新品の半分程度の4m〜3m程度で交換していくことが安全上、ベストな選択であると思いました。

企業所有の社有車においてはリース会社の管理下に置かれるなどで、交換基準はまちまちなのかもしれませんが、企業ドライバーにおいては、そのタイヤの溝が運転に与える影響を十分にご理解をいただいた上で運転をすることが大切であり、企業においてはそれを含め教育していく必要があります。

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