事例に学ぶ!幼稚園バスとドライバーが抱えるリスク

繰り返されたあってはならない事故

先日、3歳の女の子が幼稚園の送迎バス内で置き去りにされた非常に残念な事故がありましたが、2021年7月にも福岡県内の保育園で同様の事件が起きたように幼児の車内放置事故が繰り返されてしまいました。

今回の事故に関する会見では数々のずさんな管理体制が浮き彫りになっていますが、ある自動車部品会社が今年5月に行なった、幼稚園や保育園バスの送迎担当者へのオンラインによる実態調査では、「過去に園児だけを残して送迎バスを離れた」と回答したのは21人/267人(7.9%)であり、21人のうち5人は、園児に頭痛や吐き気などの体調不良があったとしています。

また、置き去りが起きる理由については、「送迎担当者や職員の意識が低い」、「人手不足」、「防止するための規制やシステムの不足」や「登園確認などのルールが形骸化」とありました。

当然、保育所、幼稚園、認定こども園及び特別支援学校幼稚部における安全管理が徹底されている園がある一方で、現場レベルでは、こうした事態が発生している園があることも事実のようで、管理体制が整っていない園では、起こるべきして起こっている印象があります。

一つの教育からのアプローチとして、夏の車内がどれくらいの時間でどれくらいの温度まで上昇し、熱中症など、命の危険があるのかといった、危険性の知識教育や実際に、その車内を体験し起こってしまった際の緊急時対応をディスカッションしてみる、園児に対しては、「ラッパのマークを押してクラクションを鳴らしてみる」「ドアロックを解除して開けてみる」「水筒で窓を叩いてみる」「ハザードランプを付けてみる」いった体験も必要だと感じます。

既に、園児全員にクラクションを鳴らす体験を行なったとされる園もあるとのことでした。

今回のコラムでは、ドライバーリスクの観点から、こうした悲劇のヒューマンエラーを企業のリスクとして考えていきたいと思います。

業務に不慣れなドライバーが抱えるリスク

今回、事故の当事者となっている送迎バスを運転していた園長は、車内の確認漏れの原因の一つに「送迎に不慣れだった」と話をしています。

不慣れで幼い命が失われることは決してあってはならないことで、トップから出た言葉とは思えませんが、この「不慣れ」は、新入社員にもっとも多いヒューマンエラーの一つです。

業務に関しての知識が足りなかったり、経験が乏しいために起き、「道に不慣れ」「車に不慣れ」「業務に不慣れ」といった状況下では、ヒューマンエラーが起きやすい状態にあります。

送迎という業務の重要性やマニュアル等による業務手順の理解、OJTにより繰り返しトレーニングを行うことで業務に慣れることができ、安全な業務が行えるようになります。

緊張と弛緩によるリスク

何かしらのストレスにより緊張し、その後、緊張が解けホッとリラックスした経験があると思いますが、人間は緊張し続けると疲てしまうため、その緊張を解くためリラックスするように作られています。

今回のような不慣れな業務を行うにあたり、緊張して業務についていた可能性は高く、緊張状態からの気の緩みが影響を与えている可能性もあります。

具体例を上げるとしたら、タクシードバイバーが乗客を降ろした後、発進の合図を忘れて発進する、後方を確認を忘れて発進する、といったように、緊張後の弛緩はヒューマンエラーを起こす要因の一つとなります。

今回も無事、幼稚園に到着したことで、園長には気の緩みが発生し、「確認を怠る」といったヒューマンエラーの原因になったとも考えられます。

高齢ドライバーによるリスク

今回のドライバーである園長は73歳、添乗者の派遣職員の女性は70代と共に、高齢であったこともことも、チェックが省略された原因として考えられます。

教習所は送迎ドライバーに高齢者を雇用するケースが多いですが、その他の企業でも送迎ドライバーに高齢者を採用しているケースは数多くあります。

高齢者の加齢による認知能力の衰えは、物忘れ、タスク管理が苦手な他、注意力や判断力の低下により大きく間違えを起こしてしまう可能性も十分にあります。

ヒューマンエラーが起こることが前提

新入社員をはじめとした、ドライバーの心理状態に余裕がないことよるヒューマンエラーや、高齢者などの認知能力の低下が起こすヒューマンエラーなど、事故が起きる要因は多くあります。

大きなトラブルが起きる前に、企業としてドライバーの直前の状況をしっかりと把握すること、また、適切なOJTも含めた教育を行なっていくことは重要なことです。

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