スイスチーズの色んな穴

スイスチーズモデルとは

リスクマネジメントに関する概念の一つに、スイスチーズモデルという言葉があります。

ヒューマンエラーからトラブルにいたるモデルのことで、イギリスの心理学者ジェームズ・リーズン氏が提唱したものです。

スイスチーズには色々な形をした穴がいくつかあいていますが、失敗や欠陥といった問題点をスイスチーズの穴に見立てる一方、穴のあき方や大きさ、位置が異なる別のスイスチーズを安全対策に見立て、多角的な面から複数のスライスチーズを重ねることで穴を塞ぐ。

すなわち、リスク対策を何重にもすることによって安全を確保しようとする考え方です。

安全運転管理においても、その考え方は有効であり、視点の異なる防護策を何重にも組み合わせることで、交通事故が発生する危険性を低減させることができますが、チーズ(防護策)の枚数が少なかったり、どこかのチーズ(防護策)を動かしたりすると、偶然、最後まで穴がつながってしまい交通事故が発生してしまうという考え方です。

スイスチーズモデルとの違い

スイスチーズモデルと同様にリスクマネジメントで引用されている言葉として、「ハインリッヒの法則」があります。

「ハインリッヒの法則」とは、労働災害における怪我の程度を分類し、その比率を表した法則のことで、アメリカの安全技術者ハーバード・ウィリアム・ハインリッヒ氏が考案した法則です。

ハインリッヒの法則では「1件の重大事故の裏には29件の軽微な事故と300件の怪我にいたらない事故が起きている」と考え、その数字から1:29:300の法則と呼ばれることもあります。

つまり大事故を未然に防ぐためには、小さなミスやヒヤリハットを防ぐことが重要だとする考え方です。

完璧なチーズは存在しない

スイスチーズモデルでは、完璧なチーズ(防護策)は存在しないと認識した上で、チーズの枚数を増やし、また、個々のチーズが正しく機能するよう監視や定期的にPDCAサイクルを回すことが重要とされます。

例えば1枚はドライバーの安全運転対策、1枚は運行計画の安全対策、1枚は車の安全対策といった具合でしょうか。

もっと具体的なチーズが何枚も必要ですが、交通安全教育も大切な1枚のスイスチーズといえますね。

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