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外国人の雇用と業務での運転
外国人労働者問題啓発月間
6月は厚生労働省が位置づける「外国人労働者問題啓発月間」です。
企業がグローバルに展開する一方、少子高齢化の影響もあり、日本人労働力が不足していく昨今において、今後企業が外国人労働者を雇用するケースは益々増えていくことが予想されます。
また、このような事情を背景に、外国人が業務で運転する機会も増えていくのではないでしょうか?
外国人が母国の運転免許を持っていても、日本においてそのまま運転できるとは限りません。
日本で運転するために必要な免許をみていきましょう。
外国人が日本で運転できる運転免許
日本の運転免許証
言うまでもなく、公安委員会が発行する運転免許をもっていれば、問題なく公道を運転することができます。
また、無免許運転は道路交通法第64条によってその禁止が明示されていますので、この機会にあらためて確認しておきましょう。
第64条(無免許運転の禁止)
何人も、第八十四条第一項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。(※一部、抜粋)
国際条約に基づく運転免許証
国際条約と言えば、ジュネーヴ条約が真っ先に思い浮かぶところです。
ジュネーヴ条約には諸条約があり、一般的には武力紛争による被害をできる限り軽減することを目的とした4条約の総称を指しますが、運転免許に関する条約は「道路交通に関する条約(通称:道路交通条約)」として、1949年9月19日にジュネーヴで作成されました。
そしてもう一つの国際条約に、ウィーン条約という条約があります。
ウィーン条約は、1968年11月8日にウィーンで作成された条約です。
これらの条約の批准国が発行する運転免許証をもっていれば、問題なく公道を運転することができます。
各条約の批准国であるか否かの確認は、警察庁作成の「国際運転免許証様式資料」で照会することが可能です。
ただし、発給している国際運転免許証の様式については、全てが網羅されているわけではなく、また、発行されている最新の様式であるとは限らないことへの注意が必要です。
国際運転免許証を発給していない国の運転免許証
国際運転免許証を発給していない国又は地域であっても、日本と同等の水準にあると認められる免許制度を有している国又は地域の運転免許証をもっていれば、問題なく公道を運転することができます。
ただし、その場合は政令で定める者(※1)が作成した、日本語による翻訳文が添付されているものに限られます。
現在、スイス連邦、ドイツ連邦共和国、フランス共和国、ベルギー王国、モナコ公国及び台湾(※2)が対象です。
(※1※2は、警察庁HPをご参照ください。)
日本において運転できる期間
日本の運転免許証の有効期間内についてはご存じのとおりですが、国際運転免許証及び国際運転免許証を発給していない国の運転免許証に関しては、原則として、日本に上陸した日から起算して1年間又は当該免許証の有効期間(発給日から1年間)のいずれか短い期間となります。
日本の運転免許証への切り替え
切り替えの条件
外国の行政庁が発行した運転免許証は、運転免許センターにて日本の運転免許証への切り替えを行うことができます。
その場合は、以下の2つの条件を満たしている必要があります。
①外国の運転免許証が有効であること
②外国の運転免許証を取得した日から通算で3ヶ月以上その国に滞在したことが証明できること
知識確認、技能確認を免除する国等
下記に示す29の国等は、日本の運転免許証への切り替え時に、知識と技能に係る確認が免除されます。
アイスランド、アイルランド、アメリカ合衆国(オハイオ州、オレゴン州、コロラド州、バージニア州、ハワイ州、メリーランド州及びワシントン州に限る)、イギリス、イタリア、オーストラリア、オーストリア、オランダ、カナダ、韓国、ギリシャ、スイス、スウェ-デン、スペイン、スロベニア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ニュージーランド、ノルウェ-、ハンガリー、フィンランド、フランス、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、モナコ、ルクセンブルク、台湾
技能確認を免除する国等
アメリカ合衆国においては、インディアナ州に限り技能の確認が免除されます。
ここまで、外国人が日本で運転するために必要な免許について見てきました。
「外国人労働者問題啓発月間」は、6月1日(土)から6月30日(日)までの1か月間です。
労働基準監督署では、労働基準関係法令違反が疑われる技能実習生受け入れ事業主等に対して監督指導を実施し、違反が認められた場合にはその是正に向けて指導を行い、悪質な事業主等に対しては、送検を行うなど厳正に対処しています。
外国人労働者と言っても労働環境や日本での労働に至る背景はさまざまです。
これを機に、外国人にとっても日本人にとっても安心して過ごせる交通環境が整うといいですね。
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