個癖ワースト3〜基本操作編〜

今年度もはや第二四半期となり、新入社員を対象とする安全運転研修は佳境を迎えています。
研修参加者は運転経験の少なさから、運転行動の未熟さが散見されることが多いものですが、中には相応の経験を積んでいる方も見られます。
しかし、未熟であること以上に危険と言えるのが、運転経験を積む中で形成された「個癖(こへき)」です。
今回は、新入社員研修の中で見られる「個癖」ワースト3を、運転の基本操作に絞って解説いたします。

サンプリング方法

ワースト3を導き出すにあたっては、クラスター抽出法を選択いたしました。
クラスター抽出法とは、母集団を小さなまとまりである小集団(クラスター)に分け、そこから抽出した小集団において全数調査を行う方法です。
対象期間は直近の2024年6月としました。母集団となる企業数は20社、受講者の総数は160名です。
その中から2社をクラスターとして抽出し、総数の2割にあたる32名の全件調査を行いました。
サンプル数こそ多くはありませんが、調査対象とした2社の比較についてほぼ誤差が見られなかったことは驚きの事実です。
ちなみに研修実施校は、北海道、宮城、茨城、埼玉、千葉、東京、静岡、長野、愛知、大阪の10ヶ所に分散しています。

サンプリング結果

上記方法に従ってサンプリングを行った結果、基本操作項目の評価内容別・平均評価点は以下の表の通りとなりました。
評価点は1~3点の3段階で採点しています。1点が低く、3点が高い評価となります。
当該クラスターにおいては、残念ながら平均点が中間点(2点)を上回る結果には至りませんでした。

基本操作 正しい運転姿勢(ハンドル操作、シートベルトを含む)で運転している 1.9点
適切な安全確認(発進・進路変更)ができ、安全な速度と方法で車線変更ができる 1.7点
交差点周辺の安全確認を行っている 1.9点
状況に合わせた安全かつ円滑な速度と車間距離及び通行位置で走行している 1.6点
ブレーキ操作(強い、弱い、遅い、早い)が適切にできている 1.7点

「個癖」の詳細は、通例、同乗したインストラクターにより所見として記述されます。
これらの所見の中で記述された「個癖」と合致する評価内容を紐づけ、最終的に「個癖」ワースト3として解説することといたします。

「個癖」ワースト3

第3位「ブレーキを構えない」

“ブレーキ操作が適切にできている”かの判定内容に該当する所見に多く見られた個癖です。
場面としては、信号機のない横断歩道を通過するシーンです。
ブレーキの構えがないということは、右足がアクセルの上にあるということ。これでは咄嗟の対応に間に合いません。
運転の慣れが油断に転じた典型的なパターンと言える個癖です。

第2位「車間を詰める」

“状況に合わせた安全かつ円滑な速度と車間距離及び通行位置で走行している”かの判定に至る個癖です。
判定に至る場面は二つありますが、煽り運転が注目され始めて以降、走行中を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?
研修中に煽り運転を行ったとの前例はありませんが、平気で車間を詰める走行は、追突がないことを成功体験として誤った認識を持っているものと思われます。
もう一つの場面は、停止時です。詰められるほど上手い、はこちらも誤った認識です。
停止時の車間距離は、前車の後輪タイヤの接地面が見える位置を目安にするといいでしょう。
相手に圧迫感を与えない、不快に感じさせない運転が、上手い運転です。

第1位「合図が遅い」

“適切な安全確認ができ、安全な速度と方法で車線変更ができる”かの判定時に見られる個癖です。
その多くが、車線変更を伴う場面で「合図と同時にハンドルを切り始める」と報告されています。
癖という点においてはむしろ「ハンドルを切るついでにウインカーを出す」という手順が習慣化されているのではないでしょうか?
危険極まりない習慣としか言いようがありません。

番外「逆手ハンドル」

“正しい運転姿勢で運転している”かの判定の中で、時折見受けられる個癖です。
いつ、どこで、誰に教わったのか…謎の多い個癖であり、ベテランドライバーにもよく見られる個癖です。
安全運転に貢献する要素は何一つありません。即、直しましょう。

今回は、新入社員研修の中で見られる「個癖」ワースト3を、運転の基本操作に絞って解説いたしました。
プロのスポーツ選手が基本動作を大切にしていることはよく知られています。
白ナンバーの車両を運転するドライバーをプロとは呼びませんが、ひとたび起こした交通事故の惨劇がプロかアマチュアかによって変わることはありません。
習慣化された「個癖」は未熟であること以上に危険であることを自覚し、危険を排除する運転行動が習慣化できるよう努めていきましょう。

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