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煽り運転と道路交通法
8月も今週で終わりです。今年はオリンピックイヤーでしたので、いろんな意味でアツい夏でした。
8月の終わり、フランスと言えば…1997年8月31日、パリのアルマ橋トンネルでダイアナ妃が自動車事故に遭ったことが思い出されます。
当該事故の原因は諸説ありますが、今回は夏休みの終わりに際し、わが国の道路交通法と「煽り運転」の関係について詳しく見ていきたいと思います。
煽り運転の存在
日本では2019年8月10日茨城県・常磐自動車で起こった事故があまりにも悪質であったため、これを機に「煽り運転」の存在とそれらに対する厳罰化が大きく世に知らしめられました。
それにもかかわらず、残念ながら以後も「煽り運転」は発生している、という現実があります。
残暑が厳しい折、渋滞によるイライラ、業務上のストレス等で感情が爆発しないとは言い切れません。
そんな時は、道路交通法の規定とともに企業ドライバーとして社の看板を背負っていることに意識を向けてください。
煽り運転の規定
以下に、煽り運転と見なされる代表的な5種類の違反行為の根拠となる道路交通法とその罰則について記します(一部抜粋)。
①急ブレーキ禁止違反
道路交通法第24条(急ブレーキの禁止)
“車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない。”
交通違反の種類 | 点数および反則金(普通車の額) | |
---|---|---|
急ブレーキ禁止違反 | 2点 | 7,000円 |
②車間距離不保持
道路交通法第26条(車間距離の保持)
“車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない。”
交通違反の種類 | 点数および反則金(普通車の額) | |
---|---|---|
車間距離不保持 | 1点 | 6,000円 |
車間距離不保持(高速道路) | 2点 | 9,000円 |
③進路変更禁止違反
道路交通法第26条の2(進路の変更の禁止)
“車両は、みだりにその進路を変更してはならない。”
交通違反の種類 | 点数および反則金(普通車の額) | |
---|---|---|
進路変更禁止違反 | 1点 | 6,000円 |
④減光等義務違反
道路交通法第52条2項(車両等の灯火)
“車両等が、夜間、他の車両等と行き違う場合又は他の車両等の直後を進行する場合において、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときは、車両等の運転者は、政令で定めるところにより、灯火を消し、灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない。”
交通違反の種類 | 点数および反則金(普通車の額) | |
---|---|---|
減光等義務違反 | 1点 | 6,000円 |
⑤警音器使用制限違反
道路交通法第54条2項(警音器の使用等)
“車両等の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはならない。”
交通違反の種類 | 点数および反則金(普通車の額) | |
---|---|---|
警音器使用制限違反 | なし | 3,000円 |
煽り運転の取締まり
警視庁では、煽り運転の取締りについて下記のように宣言がなされています。
・他の車両等の通行を妨害する目的で行われる悪質・危険な運転に対して、妨害運転罪や危険運転致死傷罪等のあらゆる法令を駆使して、厳正な捜査を徹底する。
・妨害運転罪や危険運転致死傷罪等の適用が困難で、点数制度による処分に至らない場合であっても、悪質・危険な運転に起因して暴行、傷害 、脅迫、器物損壊等が行われ、「自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとき」と認められる場合には、危険性帯有者として、運転免許の停止処分を積極的に行う。
それでもなお、身勝手な危険運転を行った結果、人を死傷させた場合は「自動車運転死傷行為処罰法」により下記の刑罰に処せられます。
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条(危険運転致死傷)
“次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。”(以下省略)
刑罰の種類 | 刑罰の範囲 | |
---|---|---|
危険運転致死傷罪 | 人を負傷させた場合 | 1か月以上15年以下の懲役 |
人を死亡させた場合 | 1年以上20年以下の懲役 |
今回は、わが国の道路交通法と「煽り運転」の関係について詳しく見てきました。
煽り運転と夏休みに相関関係はありませんが、交通量の増加に伴い渋滞が発生し思い通りに運転できなくなる、という経験は誰にもあるのではないでしょうか?
朝夕の通勤ラッシュ、事故・工事による車線規制、天候の急変など、交通を取り巻く環境は常に変化するものです。
意図的な妨害運転などはもっての外ですが、ひとたびハンドルを握ったならば「安全最優先」のマインドセットをそのたびに行い、思いやり運転・ゆずり合い運転を励行しましょう。
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