column
『交通マナーアンケート』に見るドライバー心理
JAFのアンケート調査結果に基づき、独自の視点で考察を行ってきたシリーズ最終回となります。
前2回の考察では、信号機のない横断歩道を走行する際のドライバーの安全に対する希薄さと、それを正当化しようとする身勝手さが浮き彫りになりました。
今回は、「交通マナー」に関するアンケート調査結果に触れ、ドライバー自身が感じる交通マナーに対する認識について見ていきたいと思います。
横断歩道の一時停止以外の交通マナー
「交通マナー」に関するアンケート調査は、計10問の設問が設定されています。
その中から、交通違反に該当する運転行動に対する設問を選択し、見ていくことにいたします。
該当する設問数は計5問です。
さらに、結果として「とても思う」と強く肯定する回答の割合がもっとも多かった都道府県を抽出いたしました。
Q.「方向指示器を出さずに車線変更や右左折する車が多い」
順位 | 都道府県 | 回答率 | 一時停止ランキング |
---|---|---|---|
第1位 | 岡山県 | 53.2% | 12位(67.2%) |
Q.「信号機が青に変わる前に発信する車が多い」
順位 | 都道府県 | 回答率 | 一時停止ランキング |
---|---|---|---|
第1位 | 香川県 | 18.1% | 36位(41.9%) |
Q.「運転中にスマホを使用しているドライバーが多い」
順位 | 都道府県 | 回答率 | 一時停止ランキング |
---|---|---|---|
第1位 | 三重県 | 49.6% | 14位(64.3%) |
Q.「不要なクラクションを鳴らす車が多い」
順位 | 都道府県 | 回答率 | 一時停止ランキング |
---|---|---|---|
第1位 | 京都府 | 9.8% | 32位(45.3%) |
Q.「無理な割込みをする車が多い」
順位 | 都道府県 | 回答率 | 一時停止ランキング |
---|---|---|---|
第1位 | 徳島県 | 27.9% | 33位(44.4%) |
これらの結果を見る限り、交通マナーの悪さに対する認識と一時停止率の低さは必ずしも一致するわけではなさそうです。
一方で、交通マナーの良し悪しは、地域の道路事情または県民性に起因することが想起されます。
少なくとも、巷で耳にする“〇〇走り”などと揶揄されないようにしたいものです。
交通マナーか、交通ルールか
ところで、上記で見た交通マナーは「マナーが悪い」で済む問題でしょうか?
この機会に、それぞれの運転行動が抵触する道路交通法について確認しておきましょう。
運転行動 | 道路交通法 |
---|---|
方向指示器を出さずに車線変更や右左折する | 第53条1項(合図) 車両の運転者は、左折し、右折し、転回し、徐行し、停止し、後退し、又は同一方向に進行しながら進路を変えるときは、手、方向指示器又は灯火により合図をし、かつ、これらの行為が終わるまで当該合図を継続しなければならない。 |
信号機が青に変わる前に発信する | 第7条(信号機の信号等に従う義務) 道路を通行する歩行者等又は車両等は、信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等に従わなければならない。 |
運転中にスマホを使用している | 第71条5項5 自動車、原動機付自転車又は自転車を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置を通話のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと。 |
不要なクラクションを鳴らす | 第54条(警音器の使用等) 車両等の運転者は、次の各号に掲げる場合においては、警音器を鳴らさなければならない。 一、左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上で道路標識等により指定された場所を通行しようとするとき。 二、山地部の道路その他曲折が多い道路について道路標識等により指定された区間における左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上を通行しようとするとき。 |
無理な割込みをする | 第三十二条(割込み等の禁止) 車両は、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため、停止し、若しくは停止しようとして徐行している車両等又はこれらに続いて停止し、若しくは徐行している車両等に追いついたときは、その前方にある車両等の側方を通過して当該車両等の前方に割り込み、又はその前方を横切つてはならない。 |
上記の通り、当該アンケート調査で示された「交通マナー」は“マナー”ではなく“ルール”です。
ルールは法律として制定されているため、違反に対しては罰則が適用されることになります。
では、ルール違反を犯したからといって100%検挙されるかというと、実際はそうではありません。
そこで、“マナー”という概念が生まれるのでしょう。
つまるところ、「捕まらなければいい」というドライバーはその時点でマナーが悪いと言えるでしょう。
今回は、「交通マナー」に関するアンケート調査結果に触れ、ドライバー自身が感じる交通マナーに対する認識について見てきました。
年末年始は車で出かける人、業務の時間に追われる人が大勢いることと思います。
一部のマナーの悪いドライバーのために多くの善良なドライバーが割を食う、こんなにバカバカしい話はありません。
ゆずり合いの心をもって、穏やかに新たな年を迎えましょう。
担当者のご紹介
マジオネットのオンライン教育
★ネット環境があればどこからでも受講可能!
★PC、タブレット、スマートフォン等マルチデバイス対応!※1
※1:ご利用のOS、ブラウザ等により、一部ご利用になれないデバイスがございます。