平成29年の交通事故死者数が発表されました!

以下のような報道が、新年早々駆け巡りました。

交通事故死、昨年は3,694人68年ぶり過去最少

昨年1年間の交通事故による死者は全国で3,694人で、統計を取り始めた1948年以降最少となった。

過去最少を更新するのは49年(3,790人)以来68年ぶり。
前年(3,904人)と比べて210人少なかった。
警察庁が4日発表した。

交通事故死者数は70年に1万6,765人と過去最悪を記録したが、96年に1万人を下回ってからは減少傾向が続いている。

死者のうち65歳以上の高齢者は2,020人で、全体の54・7%を占めている。
前年に比べて118人(5.5%)減り、全体の減少率5.4%より下げ幅が0.1ポイント大きかった。
飲酒運転による死亡事故は201件で、前年より12件減った。
93年の1,480件をピークに減少傾向となっている。

数に表れない事故

そもそも交通事故としてカウントされるのは、事故加害者、事故被害者という警察統計の性質上、人身事故のみで、物損事故は入っていません。

また、我が国の公式データとしての交通事故死の数字は、交通事故後24時間以内の死者数で、主な欧米諸国などで、1ヶ月以内に亡くなられた方を交通事故死としている数字とは、そのままでは比較できません。

交通事故死は本当に今後も減少するか

高速道路がなかった68年前、国内を走る車は30万台前後で、8,000万台以上が走る現在とは交通事情が大きく異なります。

そのため、単純に、事故で亡くなる方の比率とすれば、近い数字が並ぶ68年前当時に比べ、著しく低くなっているとも捉えられます。
しかし一方で、救命救急の発達によって、68年前だったら亡くなっていたような場合でも、24時間以上の延命ができたという例も多いかも知れません。
この68年ぶり、という数字は、直接は比較しづらいと考えた方が良いかもしれません。
様々な安全性能が強化され、自動運転化が進む中で、それでも、年々、前年に比べるとわずかにしか事故死者が減少しない、という現状は、とても喜べないように感じてしまいます。
AI時代に、人の気が緩んでいき、不注意な人災の比率が実はむしろ増えている、というようでは、命は守れません。
ハッとしたけど、自動停止で助かった、という数を加えてみたら、むしろ死亡につながるような不注意は増えていた、なんて、人類にとって不名誉ではないかと感じてしまいます。