column
続・「自動運転混在」混乱の時代・・・
(※自動運転時代は、オフィスごと必要な場所に移動できる、が現実化)
AIはスゴ腕運転手の予測力に近づけるか
さて、もう一つ、問題を提起しなくてはなりません。
「クルマだけではなく、歩行者も、自転車も、今まで以上に気をつけないと、事故が増えるかも知れない」
という話題です。
まだ、現在の自動運転技術では、熟練した従来の運転者に比べると、どうしても、事故のリスク回避には、まだまだ、おとっている面があるからです。
歩行者・自転車 それぞれ、以下に、考えてみましょう。
【1】5月を迎えた小学校前のリスク回避
午後3時過ぎ。小学校からは、元気よく子どもたちが下校していきます。5月。桜の咲く頃には緊張に包まれていた小学一年生たちも、クラスですっかり仲良しグループができ、楽しく下校するようになるでしょう。そんな、「学校に慣れ始め」「友だちと夢中で騒ぎ」「判断力は6歳児」という3つの要素が重なった小学1年生たちに対して、熟練ドライバーなら、
「あの小さい子たち、一年生かもなあ、そろそろ5月で慣れてきた頃、この車が近づいているとは、直前まで気づかないかも知れないなあ。」
と、「5月の小学校前の1年生」という条件ならではの、事前から、いつもにも増して慎重な注意と減速を行い、徐行しながら通過すれば、事故のリスクは、かなり低くなるかも知れません。
「友だちとの対話に夢中になり不注意率が高くなるかも知れない5月ごろの小学1年生」
というような、深いレベルの社会情報を、AIが認識し、事前に危険リスクを熟練ドライバー並に予測回避するには、相当な技術革新が必要と考えられます。
初々しい初期の自動運転技術と向き合うこれからの社会が、すぐに今までよりも事故が減り、より安全だとは、なかなか言い切れません。
(※自動運転技術は、まだ現在、周りの現象を察知する技術の開発が主体で、社会情勢などからリスクを予測するまでには至っていません)
【2】スマホで音楽を聴きながら運転している自転車
現在、自動車が起こす交通事故のかなり多くは、自転車との間で起っています。
自転車は、移動能力も速度も高い割に、自動車から見ると、動きが予測しにくいものです。
(※自転車のイヤホン運転は、全国的に法で規制されるようになりました)
若い学生たちの中には、イヤホンで音楽を聴きながら自転車に乗れば注意を受けると考え、他の簡易耳当てなどと組み合わせて、目立たないようにワイヤレスイヤホンを使っている場合もあるようです。
自動車を運転していて、静かに自分の左前方を、自転車が走っている場合、もしも直前まで車に気づかず、車が追いつく頃に道路を右に渡ろうとすれば、たいへんな事故が起ってしまいます。
予測型の危険回避
もしも、近づく車が自動運転車の場合
熟練した運転者なら、自転車に乗る人が、周りにも気持ちを配っている状態と、ひそかに音楽を聞いているなど、まわりに注意できていなような動きの違いを察知します。そして、音楽などに夢中な様子の自転車を追い越すときには、自転車との間を少し広めに開けたり、念のため速度をより落としたりします。予測型の危険回避です。
もしも、近づく車が自動運転車の場合、搭載されているセンサーとAIによって、一見、通常と何も変わらず同じように前進する自転車が、実は近づく車に気づいていないかも知れない状態かも?と、熟練ドライバーのように判断できるようになるのは、たいへんな技術進歩が必要でしょう。
最後に
今回の話題は、
・季節によっても変化する小学一年生の心理
・後ろに気が回っていない自転車運転の気配
などを例に、優れた運転者は、はっきりした事故原因より以前に、予測運転を行っているという話題をお届けしました。
感知した情報をAIが判断する、「先進のセンシング技術」が、盛んに話題になっている、多くの人の期待度も高い、自動運転の発達。
でも、技術が発達していくんだから、と、「任せる気分」に浸るのは、少し違うし、なんだか危険な気もします。
未来に夢のある社会を描くことは、嬉しいことです。
でもそんな中で、これから私たちが、もしかしたら10年、20年と、長い期間過ごすのは、混乱のおそれもある「混在時代」という見方もできること、少しだけ、意識してみませんか?
このテーマをはじめ、激動する社会の話題、これからも追いかけていきます。