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個癖ワースト3〜法規走行編〜
突然ですが、「タテシナ会議」をご存じでしょうか? 毎年7月18日、交通安全に祈りを捧げる場として、蓼科山聖光寺の夏季大祭の期間中に行われる会議です。
この会議には、トヨタを中心とする自動車関連企業の役員が一堂に会し、交通事故死傷者ゼロの実現に向けての取り組みが進められています。
しかし、交通事故死傷者ゼロの実現には、メーカーの先進技術に頼る以前に運転者自身が交通ルールを遵守する必要があります。
今回は、新入社員研修の中で見られる「個癖」ワースト3を、法規走行という視点で解説いたします。
サンプリング方法
サンプリング方法については、前号をご覧ください。
サンプリング結果
前号同様のサンプリングの結果、法規走行項目の評価内容別・平均評価点は以下の表の通りとなりました。
評価点は1~3点の3段階で採点しています。1点が低く、3点が高い評価となります。
当該項目においても、残念ながら平均点が中間点(2点)を上回る結果は見受けられませんでした。
法規走行 | 信号、標識、標示を認知しルールを守って走行できている | 1.6点 |
---|---|---|
道路や状況に適した安全な速度と方法で右左折ができる | 1.4点 | |
適切な時期に合図(進路変更、右左折)をしている | 1.6点 | |
一時停止、優先道路、優先車等の適切な判断ができ安全な速度と方法で通行できている | 1.7点 | |
歩行者に対する気配りができ保護(横断歩道、側方通過時)できている | 1.8点 |
「個癖」の詳細は、通例、同乗したインストラクターにより所見として記述されます。
これらの所見の中で記述された「個癖」と合致する評価内容を紐づけ、最終的に「個癖」ワースト3として根拠となる道路交通法とともに解説いたします。
「個癖」ワースト3
第3位「速度超過」
“信号、標識、標示を認知しルールを守って走行できている”かの判定に係る個癖です。
速度超過は、速度に対する慣れにより生じます。
「速度を出せる=運転が上手い」ではありません。
最高速度の根拠は、道路交通法第22条(最高速度)で示されています。
速度は周囲に合わせるのではなく、速度標識に合わせましょう。
「速度を抑制できる=運転が上手い」と認識をあらためてください。
第2位「一時停止不停止」
こちらも、“信号、標識、標示を認知しルールを守って走行できている”かの判定に係る個癖です。
一時停止の不停止には、以下に示す2つのパターンがあります。
①徐行速度への減速をもって停止したと解釈しているパターン
②安全を確認しようとし停止線を越して停止しているパターン
厳しいようですが、いずれも交通ルールの身勝手な拡大解釈と言えます。
一時停止の根拠は、道路交通法第43条(指定場所における一時停止)にあります。
一時停止箇所では、停止線手前1m以内で完全に停止し、心の中で1秒数える癖をつけましょう。
第1位「右折ショートカット」
右折ショートカットとは、右折時に交差点内を最短距離で走行する危険な運転行動です。
“道路や状況に適した安全な速度と方法で右左折ができる”かの判定に係る個癖です。
右左折の交通ルールの根拠は、道路交通法第34条(左折又は右折)にあります。
道幅の広い交差点において顕著に表れますが、住宅密集地でのT字路でもよく見られます。
それでは、どの位置を走行するといいのでしょうか?
まずは、交差点の中心を目指しましょう。正確には…道交法第34条第2項をぜひご確認ください。
今回は、新入社員研修の中で見られる「個癖」ワースト3を、法規走行の視点から解説いたしました。
第2位などは、ルール違反の判定が容易であることから取り締まりの対象としてもよく見られます。
交通ルールを遵守するには、ルールをきちんと理解しておく必要があります。
運転免許の取得者全員が交通ルールを理解した上で遵守できたならば、先進技術に頼らずとも減らせる交通事故があるはずです。
今宵は交通安全への想いを馳せながら、ハンドルを握る一人ひとりが個々の責任を果たしていくことを心に誓いましょう。
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