個癖ワースト3〜車両感覚編〜

今週末からはいよいよオリンピックが始まりますね。今大会の開催地は花の都、パリ。
フランスは車社会で、夫婦で1台ずつ車を所有することが当たり前だそうです。
駐車場が少ない都市部では、ギリギリのすき間に無理やり車を押し込むことが日常茶飯事とのこと。
彼らは車両感覚をこのような運転機会の中で身につけているものと思われます。

今回は、新入社員研修の中で見られる「個癖」ワースト3を、車両感覚という視点で解説いたします。
新人社員研修における“車両感覚”については、個癖と呼ぶより未熟と呼ぶべきでしょう。
未熟という点においては“後退・車庫入れ”も同じですので、便宜上、両方の項目を合わせて見ていきたいと思います。

サンプリング方法

サンプリング方法については、前号をご覧ください。

個癖ワースト3~基本操作編~

サンプリング結果

前号同様のサンプリングの結果、法規走行項目の評価内容別・平均評価点は以下の表の通りとなりました。
評価点は1~3点の3段階で採点しています。1点が低く、3点が高い評価となります。
当該項目においても、残念ながら平均点が中間点(2点)を上回る結果は見受けられませんでした。

車両感覚 右左折時は予め出来る限り寄せる事ができている 1.5点
内輪差を把握している 1.9点
車幅、車長、車高を把握している(目標停止・路端停止を含む) 1.8点
タイヤの位置を理解し脱輪、接輪をしない 1.7点
歩行者や前車、駐車車両、電柱などとの間に安全な前方や側方の間隔がとれている 1.7点
後退・車庫入れ 後退時に周囲及び後方の安全確認ができ死角に対する意識がある 1.5点
安全な速度で後退できている 1.9点
内外輪差を意識した気配りと目配りができている 1.6点
適切なハンドル操作(逆に切る、タイヤの向きが分からないなど)ができている 1.8点
後退時の車両感覚を把握し、必要に応じて切り返しや幅寄せができる 1.7点

「個癖」の詳細は、通例、同乗したインストラクターにより所見として記述されます。
これらの所見の中で記述された「個癖」と合致する評価内容を紐づけ、最終的に「個癖」ワースト3として根拠となる道路交通法とともに解説いたします。

「個癖」ワースト3

第3位「強引に進もうとする」

“タイヤの位置を理解し脱輪、接輪をしない”(車両感覚)
“後退時の車両感覚を把握し、必要に応じて切り返しや幅寄せができる”(後退・車庫入れ)
上記評価項目の判定に係る走行シーンは、S字及びクランク狭路、方向変換になります。
「このまま進行するのは厳しいかもしれない」という局面において逆に「行けるかもしれない」と判断してしまうのは、“かもしれない運転”の誤った運用です。
安全運転に一か八かはありません。時間がかかろうとも面倒くさくとも、迷わず安全策をとる癖をつけましょう。

第2位「側方の間隔をとらない」

“歩行者や前車、駐車車両、電柱などとの間に安全な前方や側方の間隔がとれている”(車両感覚)
上記評価項目の判定に係る走行シーンは、障害物を避けて進行する場面です。
障害物を避ける際にとるべき間隔を皆さんは正確に答えられますか?
答えは避ける障害物の種類と方向によって変わるため、また別の機会に解説することといたします。
インストラクターの所見からは、十分な間隔がないまま減速もなく、同乗しながらヒヤリとする場面に遭遇している様子がうかがえます。

第1位「寄せない、その上膨らむ」

“右左折時は予め出来る限り寄せる事ができている”
上記評価項目の判定に係る走行シーンは、すばり、左折です。
第2位とは逆に、この場面においてはきっちり寄せなければいけません。
これに加え、左折時にハンドルを右に振ってしまう癖のある方は要注意です。
左折時の右振りは実は無意識であることが多く、この癖は原因である進入速度を落とすことで直せます。

今回は、新入社員研修の中で見られる「個癖」ワースト3を、車両感覚と後退・車庫入れの視点から見ていきました。
フランス人は多少のキズやヘコミがあっても走れば問題ないと考えている人が多いようで…おおらかと言うと聞こえはいいですが、現実問題としては当て逃げも少なくなく、警察に届けても「運が悪かったね」と相手にしてもらえないという話も。けれど、日本ではそうはいきません!
当て逃げは論外ですが、相手も自分も傷つけないようにまずは車両感覚をしっかり身につけましょう。

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